Web業界で価値を発揮するには、技術スキルだけでなく思考力やビジネススキルまで幅広い能力が求められます。本記事では、Web制作・デザイン・マーケティングの各領域で必要とされるスキルを体系的に整理し、実務で即戦力となるための学習の道筋を示します。
ベーシックスキル:全ての土台となる4つの能力
論理的思考力:感覚ではなく言語化できる力
Web業界で最も単価が高い人材は「クライアントの売上・利益に貢献できる人」です。そのためには、施策を論理的に組み立て、決裁権者に納得してもらえる提案ができる必要があります。
一見感覚的に思えるWebデザインでも、論理的思考力は不可欠です。自分が作ったデザインを「なぜこの配色にしたのか」「なぜこのレイアウトを選んだのか」と論理的に言語化できると、クライアントの納得度が劇的に上がります。
論理的思考力を鍛える4つの習慣
- 日常のコミュニケーションから結論ファーストを意識する
- Slackなどのテキストコミュニケーションで論理的に書く練習をする
- 学習中に疑問を感じたら放置せず、「なぜそうなるのか?」と考える
- 知的好奇心を持って深掘りする姿勢を持つ
検索能力:問題解決の最強ツール
プロのWebクリエイターでも、仕事中は常にGoogle検索を活用しています。「自分でGoogle検索を使って問題解決する力」を養わないと、後々かなり苦労することになります。
大抵の問題やエラーはGoogle検索で解決できます。わからないことがあったとき、まずは自分で検索してみる習慣を徹底的に身につけましょう。この能力の有無が、成長スピードを大きく左右します。
コミュニケーション能力:テキストが9割
リモートワークが主流となった現在、テキストコミュニケーション能力が極めて重要になっています。
テキストコミュニケーションのメリット
- 相手の時間を奪わずに情報を伝えることができる
- 論理的に書くことで口頭よりも正確に伝えやすい
- 情報を過不足なく整理して伝えられる
- 受け取る側も理解が早い
テキストコミュニケーションのデメリット
- 感情的な話や言いづらい話は伝わりづらい
- 活発な議論にはやや向いていない
基本的にWeb系の仕事では、まずテキストで議論や報告を行い、それが難しい場合に電話やビデオ会議に切り替えるスタイルが主流です。大半のクライアントとのやりとりはテキスト上で完結します。
学習スキル:変化に適応し続ける力
Web業界ではトレンドが常に変化し、新しいツールが次々と登場します。継続的に学習していく姿勢が不可欠です。
効率的に学習するための4つのTips
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枝葉に捉われず、まずは幹を理解する
プロでもツールの細かい機能を全て暗記しているわけではありません。本質的な部分だけ理解し、細かいところはGoogleを活用します。使っているうちに自然と覚えていきます。 -
完璧主義にならず、まずは手を動かす
「動いたらOK」くらいの気持ちで進めることで、学習速度が上がります。 -
学習を管理する
学習記録を残し、目標を決め、学習時間を管理することで、計画的にスキルを習得できます。 -
アウトプットしてフィードバックをもらう
客観的な視点からのフィードバックが、さらなる成長を加速させます。
Web制作スキル:ノーコード時代の開発手法
2つの制作方法:ノーコードとスクラッチ
Webサイトの作り方には、ノーコード・CMSとスクラッチ開発の2つがあります。
- ノーコード・CMS:Webサイトを簡単に作れるシステムを使う方法
- スクラッチ開発:ツールを使わず完全オリジナルで0から作る方法
実務では圧倒的にノーコード・CMSを活用することが多くなります。スクラッチ開発は工数がかさみ費用が高額になるため、特別な理由がない限り選択されません。
これらのツールを活用すれば、一般的な企業のホームページからECサイトまで開発できます。WordPressは全Webサイトの43%、Wixは3.4%を占めており、2024年時点でも上位にランクインし続けている有望なツールです。
WixとWordPressの使い分け
Wixは比較的新しいノーコードツールで、WordPressより直感的な操作が可能です。一方、カスタマイズ性はWordPressの方が高いという特徴があります。
Wixの強み
- ドラッグ&ドロップで直感的にサイトを作りやすい
- よりスピーディーに開発できる
- クライアント自身でも操作しやすい
Wixの弱み
- WordPressに比べるとカスタマイズがしづらい
使い分けのポイント
クライアントの要望に応じてツールを使い分けることが重要です。
- 「クライアント自身で操作したい」
- 「細かいカスタマイズより早く立ち上げたい」
という場合はWixが適しています。
下請け案件ではシェアの高いWordPressが多いですが、直案件であれば自由に提案できます。ノーコードは実装が早いため、直案件では積極的に提案してみましょう。
💡 補足
日本ではStudioなども使われることが多く、Wixをしっかり学習すれば他のツールも本質的な機能は同じなので応用が効きます。スキルの幅を広げたい方は他のツールも学習してみましょう。
Webデザイン:Figmaが変えたデザインワークフロー
WebデザインツールにはFigma、Adobe製品など様々なツールが存在しますが、現在はFigmaが世界標準となっています。
Figmaでできること
- プレゼン資料の作成
- Webサイトデザインの作成
- スマホアプリデザインの作成
- チラシデザインの作成
- Web広告の作成
- SNS投稿の作成
あらゆるデザイン業務を一つのツールで行えます。Google社内でも利用されており、2022年には使いたいデザインツール世界1位に選ばれました。
基本的なWeb制作の流れ
- 企画提案
- デザイン作成
- 実装
- 納品
Figmaを使ってデザインの詳細をクライアントと詰めた上で、適切なツールを選定してサイトを実装し公開していきます。
Webマーケティング:制作者から戦略家へ
Webマーケティングは、Webを活用して商品・サービスの購入を促す全ての活動を含みます。現在では「デザインができる」「サイトが作れる」だけでなく、マーケティング領域まで踏み込んでクライアントの売上・利益に貢献できる人材が求められています。
Webサイト改善スキル
Google Analyticsなどの分析ツールを設定すれば、毎日どのくらいのユーザーがどのページを見ているかなど、全てのデータを分析できます。
Webサイトに完成はありません。 最初から100%のサイトをリリースすることは不可能で、効果を出したければ常に分析して改善を回し続ける必要があります。
分析ツールを活用してサイト分析をし、データに基づいてサイトを改善できるスキルが必要です。
Web広告
Web広告の市場規模は年々増加しており、今後も需要の増加が見込めます。近年はツールの自動化機能が強くなっており、意外と簡単に設定して広告を出せるようになっています。
特に市場として伸びているのがSNS広告です。Webサイト制作だけでなく、Web広告の提案まで行うことで単価を大きく上げられます。
SNS運用
企業がInstagramやX(旧Twitter)のアカウントを開設して情報発信することで集客につなげるケースが増えています。
Instagram運用代行の例
提案内容次第ですが、毎日1〜3投稿で月5〜30万円ほどの単価で案件を受けることができます。SNS運用スキルを身につけると、マーケティング提案の幅が大きく広がります。
ビジネススキル:技術を収益化する力
案件獲得スキル
提案力、提案資料の作成、コミュニケーション能力、営業力、行動力など、案件獲得に必要なスキル全てを指します。
未経験からのスタート戦略
単価が低くても「実績作り」という気持ちで仕事を選ばず頑張る姿勢が重要です。様々な方法を通じて実績とクライアントを積み重ね、リピートや紹介で案件を増やしていくのが王道です。
案件獲得の主な手段
- クラウドソーシング
- 知人からの紹介
- 飛び込み営業
- 電話営業
- 副業エージェント
- フリーランスエージェント
- SNS発信
- パートナー企業提携
様々な方法にトライしていく姿勢が重要です。
納品・リピートスキル
案件を獲得してお金がもらえたら終わりではありません。しっかりと納品し、クライアントに満足してもらう必要があります。
満足してもらえないとリピートが増えず、紹介も得られず、どんどん厳しくなっていきます。
最も大切な原則
信用第一で行動し、「満足度 > 期待値」 となるように調整することが最も大切です。
法務・税務知識
副業やフリーランスとして活動するなら、法律の知識や税務の知識も必要です。
必要な知識の例
- クライアントと結ぶ契約書の確認
- 税金の計算
- 確定申告
意外とこの部分が疎かになっている人が多いので、早めに基礎知識を身につけておきましょう。
まとめ:スキルマップを活用した戦略的成長
Web系のスキルは多岐にわたりますが、全てを一度に身につける必要はありません。ベーシックスキルを土台に、自分の目指す方向性に合わせて技術スキルとビジネススキルを段階的に習得していくことが重要です。
2026年現在、AI技術の発展により一部の作業は自動化されつつありますが、クライアントの課題を理解し、適切なツールを選定し、論理的に提案できる人材の価値はむしろ高まっています。
このスキルマップを参考に、自分の現在地を把握し、次に学ぶべきスキルを明確にして、着実にステップアップしていきましょう。